「…さっきの…お前のせいってわけじゃねぇから…」


「え…?」


聞こえて来たのは怒った声でも、責めるような言葉でもない……




優しい声と優しい言葉。



「なんか勘違いしてるみてぇだから……いや俺が言葉足らずだったせいだけど…」


「っ…でも私がいたからって…」


「違う。それは俺自身の問題だから。」



藤咲はにこっと笑って私のすぐ横を歩いた。




「っ……」



変わらないあの笑顔を向けられた嬉しさに私は泣きそうだった。



「雨苗…?…あ。」


「え?」


「懐かしいー!!」


不思議そうに私の名前を呼んだ藤咲は、何かに気付いたらしく声を上げた。



藤咲の目線の先にはいつの間にか懐かしい、私達が通っていた中学校。



私はそれを見て、藤咲に提案した。



「…ね!入らない?」


「は?」


「夏休み前だから短縮でもう生徒もいない時間だし!!」


「まじで?」


「まじさ。」


そう言って私は藤咲と校舎の中へと足を進めた。



私はある決意を胸にしながら……