「藤咲君ってモテそうなのにね、意外だー。」


「だろー?」


考え込んでしまっていた私を現実に引き戻したのはまた永奈の声だった。


何が意外なんだろ…?


私は永奈の言ったことの意味が分からず、同意した葉山さんの方に目を向けた。


すると葉山さんはそんな私を一瞬見てニヤリと笑った。


(な、何…?)


不安な私とは対照的に何事もなかったかのように葉山さんは話を進めた。


「女泣かせの藤咲君だもんなー。」


「だからその言い方は悪い男にしか聞こえないっす…」


「ひゃーすごいっ!!」


「こいつ中学の彼女もすぐに振って高校入っても女振りまくってるからなー。」


「え…?」


「ちょっ…駿先輩!?」


葉山さんの何気ない言葉に私は反応してしまった。



中学の彼女も振ったって……



私は何かの間違いだと思って藤咲に聞いた。



「ふ、藤咲………高橋さんは……?」


すると藤咲は苦々しい表情を浮かべた。



「……別れた。」


「いつ!?」


「…中3の夏休み終わる前。」



え…?じゃああの日から1ヵ月も経ってないの…?


訳が分からない私は藤咲を問いただすように口調を強めてしまう。