「私は長い間、エルガのもとにいたけど…彼のことを、何ひとつ知らなかった。私は彼に懐いていたけど、彼にとって私は、他の奴隷の子供達と変わらなかっただろうから」
ジェイドは少しの間翡翠を愛おしそうに見つめると、ふわりと綺麗に微笑んだ。
「…なのに、エルガは覚えていてくれたのね。こんなものをもらえるなんて、夢にも思っていなかった…届けてくれて、ありがとう」
今までたくさんの人に、色んなものを届けてきたけれど。
彼女の嬉しそうな笑顔に、私はこれまででいちばん、『届けてよかった』と思えた。
なんだか私まで、泣いてしまいそうになる。
…エルガ、クエイト様。
私を外の世界へ導いてくれて、ありがとう。
…私は今、こんなにも。
生きる喜びを、感じています。