「いや。特にない」
「…冷たいわね。自分の国の歌なら、ひとつくらい知ってるでしょう」
「お前が何を歌おうが、俺は構わん」
それは、遠回しに『どうでもいい』と言っているようなものだ。
本当に、この男は。
最後まで、とことん他人に無関心なのだから。
私はムッとした顔をして、エルガの前に立った。
「あなたってほんっとーに、腹が立つ男ね」
「お前に腹を立てられようが、俺にはどうでもいい話だ」
「…………」
子供達が私達のやりとりを見て、オロオロと戸惑っている。
私は眉を寄せて、ジッとエルガを見つめた。
彼も、まっすぐに見返してくる。