食事の途中、私は歌をうたった。

以前、『子供達にも聞かせてやれ』と、エルガに言われていたのを思い出したからだ。


私の歌に、子供達は素直に喜んでくれた。

エルガは目を閉じて、心地良さそうに聞いてくれた。

私はそれが嬉しくて、気分良くうたった。

そんな私を見て、テンは何か勘付いたのか、途中から泣き出してしまった。


「…うぅ…っ、ロジンカちゃん〜…」


…テン。

私はうたうのをやめて、テンの前にしゃがみ込んだ。

私と目が合うと、テンは涙の浮いた瞳を見開く。


「テン。いつも、ありがとう」


あなたがいなければ、私はここで、こんなにも楽しくうたえていなかった。

子供達の中に馴染むことができたのは、テンのおかげだ。

私が森の中へ逃げようとした夜、テンが止めてくれなければ、私は今頃どうなっていただろう。