私は今夜、ここを出る。

エルガや子供達と過ごすのも、今日で最後なのか、と。

いちばん後ろで歩きながら、思ったのだった。






その日の夜。

大きな街の、一歩手前の川のほとりに、私達はテントを立てた。

エルガが、子供達にパンを配り始めた頃、私は「ねえ」と声を上げた。


「今日は、外で食べましょうよ」


私の提案に、エルガが驚いた顔をする。

対して子供達は、「食べたーい!」と元気良く賛成してくれた。


「…ロジンカ」

子供達が騒ぐ中で、エルガが私の名前を呼んだ。

その顔は、なんだか複雑そうで。


…ああ、気づかれてしまったのだと、思った。


私はあえて何も言わずに、少しだけ笑ってみせた。

やっぱり、エルガに何も言わず出ていくのは、難しそうだ。


それからエルガは、私の提案を受け入れてくれて、外で食べることになった。

丸太を川の近くに置き、皆でそこに座る。

夜空はちょうど星が出ていて、子供達が嬉しそうにはしゃいだ。