私は今夜、ここを出る。
エルガや子供達と過ごすのも、今日で最後なのか、と。
いちばん後ろで歩きながら、思ったのだった。
*
その日の夜。
大きな街の、一歩手前の川のほとりに、私達はテントを立てた。
エルガが、子供達にパンを配り始めた頃、私は「ねえ」と声を上げた。
「今日は、外で食べましょうよ」
私の提案に、エルガが驚いた顔をする。
対して子供達は、「食べたーい!」と元気良く賛成してくれた。
「…ロジンカ」
子供達が騒ぐ中で、エルガが私の名前を呼んだ。
その顔は、なんだか複雑そうで。
…ああ、気づかれてしまったのだと、思った。
私はあえて何も言わずに、少しだけ笑ってみせた。
やっぱり、エルガに何も言わず出ていくのは、難しそうだ。
それからエルガは、私の提案を受け入れてくれて、外で食べることになった。
丸太を川の近くに置き、皆でそこに座る。
夜空はちょうど星が出ていて、子供達が嬉しそうにはしゃいだ。