キーンコーンカーンコーン…
HRの終わりを知らせるチャイムが鳴ると、生徒のほとんどが隼人君の席を囲む。
横目にそれを見ていると、早くも隼人君は友達が沢山出来てる様子だった。
女子たちの彼女いるの?とか下らない質問にも一つ一つ答えていて、偉いなぁと思った。
「何で引っ越してきたの?」
女子の一人が何気なく言った言葉。
隼人君は言葉を詰まらせていた。
そして曖昧に、まぁ離婚して再婚したみたいな?と言って笑った。
その笑いは誰が見ても分かるほど無理矢理で、誰もそれ以上聞かなかった。
「せーなっ!」
親友の奈津美(ナツミ)の声がして、声のした方へ振り向くと、奈津美がわたしの席に駆け寄ってきた。
「転校生君、何か謎だよね?」
そう小声で言って不適に微笑む奈津美に、わたしも頷く。
「何かただの離婚じゃなさそう」
ぼそっと呟くわたしにうんうんと頷く奈津美。
「何話してんのっ?」
質問地獄から解放された隼人君が、わたしたちに向かって言ってきた。
「あー、鬼頭君イケメンだねって、ね?星雫!」
「うんっ」
奈津美に話を合わせると、隼人君はニカッと笑った。
「まじでっ?さんきゅっ」
楽しそうに笑う隼人君につられてわたしたちも笑うと、隼人君は二人とも可愛いな、なんてお世辞を言ってくれた。
奈津美が可愛いのは頷けるけど、わたしはぶすの塊だと思う。
てか、お兄ちゃんとか近所の男友達にぶすって呼ばれたりするから、自覚せざるを得ないと言うか何というか…。
「星雫、何、百面相してんだ?」
笑いながら言う隼人君に、恥ずかしさで顔が熱くなる。
「赤くなっちゃってー。俺に惚れたかっ!?」
「なっ!自意識過剰!」
隼人君のキャラが変わって、奈津美は
爆笑、わたしは呆れ顔。
隼人君は気にする様子もなく楽しそうにしている。
この組み合わせは案外楽しくて、それからわたしたちは急激に仲良くなり、携帯のアドレスを交換した。