ミーンミーン…
蝉の鳴く声、女子たちの喋り声、やる気のない担任の声、黒板にチョークが当たる鈍い音。
どれもがまだらに混ざり合い、雑音と化した音たちが教室中に響き渡る。
誰一人として聞いていないHRを、やる気無くグラウンドを眺めながら過ごすわたし。
いつもと何ら変わらぬ光景。
「今日からこのクラスに転校生が来ます」
担任がこの一言を発するまでは、誰もがそう思っていただろう。
「誰!? 男?女?」
一気に騒ぎ立つ教室。
わたしも少しばかり興味が湧いて、担任や生徒たちを横目に見る。
担任は自分の話を聞いてもらえて嬉しいのか、少しテンションが高い。
そして担任がドアに目を向けたのを合図に、ガラッとドアがあいた。