「うわっ!?」


思わず声をあげて、その場に尻餅をついてしまう。


そこにいたのは、金色の毛の狐だった。

日の光を浴びて金色に見えるのではなく、自らが金色の光を発しているのだ。

そしてなぜか目には白い包帯が巻かれている。

幽霊は見慣れているけど、なぜかこの狐には何か恐ろしい物を感じる。

────妖怪、とか。


幽霊がいるからそんなものがいてもおかしくない、と美波は思った。


そしてどこかで見たことあるような感覚にも襲われる。


どうすればいいのか分からずしばらく黙って狐を見つめていると、


「久しぶりじゃの」


声を発した。
ひどく低く、しわがれた声だった。


「…どちら、様で?」


「驚かんのか」


「これでも驚いてるよ。ただ似たようなものは飽きるほど見てるから」

「! やはり」