誰が置いてくれたのだろうか。

事故を目撃した人?
警察官?
たまたま通りかかった人?

なんでもよかった。

ただ、花を置いてくれた人がいるというだけで。


しゃがんで花を置き、目をつむり合掌する。

────父さん母さん、ごめん。今までこれなくて。



もうとっくにあの世に行ってるのかな?




と、その瞬間。


暖かい風が吹いたかと思うと、なぜだか妙に懐かしい匂いが鼻をくすぐった。


────これは、クチナシの…。

「…っ」

頭がズキンと痛んだ。
ふと、誰かが後ろにいるような気配を感じた。

目を開けて、
後ろを振り向くと…。