異様に青白い体の向こうに、
うっすらとその奥の風景が見えるからだ。
そう、あれは
────幽霊。
美波は、それを久しぶりに見た気がした。
こんな田舎だと、やはり幽霊も少ないのだ。
ここに来る前は駅にも道路にも、
うじゃうじゃといたものだ。
なぜ、こんなものが見えるようになってしまったのか。
必死にその存在を訴えても誰にも信じてもらえず、
自分にしか見えないものに怯えて
一時期は部屋の中にずっと引き籠っていたこともあった。
ずっと前までその存在を信じていなかったから。
この目で確かめたいと願っていたから。
だからこんなことになってしまったのだろうか?
ならば望まなければよかった。
望むべきではなかった。
あの日。
あの事故の日、いやそれから目が覚めて以来。
ずっと1人で抱えてきたことだ。