スニーカーを履いていると、珍しく林蔵が見送りをしに来た。

「場所は、わかるのか」
「ええ、大体は」

どうせいつかは行かなくてはならないと、
前に場所をメモしておいたのだ。

靴紐を結び終えると、
いつもはしないことだが、
くるりと振り向いてから
「いってきます」
と挨拶をした。

林蔵はそれに対して笑顔も見せず、
こくりと頷くだけだった。