味噌汁の良い香りがただよっている。

基本食事は交代制、
美波ももちろん料理は出来た。

すぐに割烹着を脱ぎながら林蔵が来て、
(恐ろしいほど似合わない)
向き合って食卓の前に座ると揃って

「いただきます」

と挨拶をして黙々と食事をとる。

いつもの風景だ。
会話は、ほぼ無い。

静かな部屋の中で美波はいつも、
林蔵の作る味噌汁に感嘆していた。

(どう頑張ってもこんなに美味しい味噌汁が作れない…)

コツとかそういうものを聞いてみたいけれど、
恐れ多くてとてもじゃないがそんなことは出来ない。

その後食べ終えるとすぐ食器をさげ、
食休みもそこそこに玄関へ向かう。