頭をかき、顔を洗うために部屋を出て、
廊下の突き当たりの洗面所で洗顔をする。


冷たい水が、まだぼんやりとしていた気持ちを引き締まらせた。


顔を上げると鏡に映っているのは、
父親に似ているとよく言われた青い目に
色素の薄い髪をした少年。

童顔で女の子のようだとからかわれたこともあった。

泣いて、どうして自分は母親似じゃないのかと親に訴えたこともあった。


今じゃそんなことも懐かしく…

などと感傷に浸っている間もなく。

「おい、もういいか」