私は、迷わずそちらを選択する。

そして、曲がり角が来るたびに少し立ち止まっては新しく出現するほうを選んで歩いていった。

だけど、私はすっかり忘れていた。

それまで慎重に目印をつけていたことを。

そして、また道に迷う羽目になっている。

「えーっと、ここってどこだろう?」

そこは、今まで通ってきたところと明らかに違っていた。

少し広い空間なのもそうだが、それまで歩くのに苦労することなく辺りを照らしてくれていた蝋燭の明かりが極端に減っている。

いきなり暗闇に放り込まれた状態に陥り、またまた方向感覚も失ってしまった。

それでも、しばらくするとその乏しい灯りにも慣れて、ぼんやりと辺りを窺うことが出来るようになってきた。

一度ぐるりと周りを見回してみるけど、その空間から伸びている道は四本。

自分がどこから出てきたのかもわかってないから、勘に頼って戻るしかないかもしれない。