だからこそ、自分の力の向上を願ったとしても抑制しようなどとは考えたこともないはずだ。

「ヒリュウはね、無自覚なんだよ。その潜在能力はアキにも匹敵するものなのに。まあ、それは当たり前なんだけどねー」

最後の一言は意味不明だが、今までそんなことを言われたことなどなかった。

だからこそ、内側から大きな衝撃を受けたといってもいい。

その衝撃が覚めやらないままに、さらなる衝撃が今度は外からもたらされた。

ホムラとアオが同時に驚いた顔でお互いを見合っている。

その理由は俺にも良くわかった。

すぐ側に玄武の気配がする。

しかも、今までとは明らかにその性質が変わっていた。

ホムラはピョンと飛び起きると脱兎のごとく部屋から出て行った。

アオは、思案深げにその後姿をただ見送るだけだった。

しばらくすると、ホムラが満面の笑みを湛えて部屋に戻ってきた。