いきなりこんなところに連れてこられて、しかもそれほど時を置かずしてこの国を護る礎になれと言われているのだから。

それでも、シロは諦観しているかのようにじっと目を閉じて身動き一つしていなかった。

チラリと真人にも視線を送る。やはり、コイツは何を考えているのかが全くわからない。

今は、暢気な顔をして窓の外を眺めていたりする。

「それよりさ、青龍はどうするの?」

ホムラの明るい声に我に返り、数度瞬きしてから思考を戻した。

「青龍は、父さんに任せようと思う」

それを受けて、父さんは重々しい感じで頷いた。

「それに関しては、私に一任してもらおう。なに、多少歳を食ってはいるがまだまだ息子に劣るつもりはないからな」

そんなことを言われなくても、父さんの凄さは身にしみてわかっている。

それこそ、今の俺なんかじゃ父さんには到底及びもしないだろう。