だが、彼らにとっては少し酷な話になるかもしれない。

「月が最も満ちるとき――本来の姿に戻って欲しい」

さすがに、これだけで動じる者は誰もいなかった。

もう少し言葉を付け足す。

「結界を張り終わったとき、もしかしたらもう元に戻ることは出来なくなるかもしれない。もうその場から動けなくなってしまうかもしれない」

それでも、顔色が変わるものはいなかった。

それは、ある程度覚悟が出来ていたということだろうか?

「ボクはさ、ハルカやヒリュウがいるこの世界を護ることができるなら、そんなことはどうでもいいことだよ。それに、この姿は仮初のものだしね。でも――」

「でも?」

ホムラは肩を竦めると「いいや」とだけ言って首を振った。

シロに視線を向けてみる。

ある意味、シロには一番納得できないことなのではないかとも思う。