きっとあの時、こういった話がなされていたんだろうけど記憶の中にはなかった。

「白虎は東の方向に何か手がかりがあるみたいだから、ヒリュウとサアヤはその手がかりを探るために東に向かったんだよ」

そうか、だから二人で。

リュウの考えてることは何となくわかった。

今の話では、その手がかりというのははっきりしたものではないのだろう。

しかも場所もはっきりしていない。だから、リュウは私を連れて行かなかったんだ。

そんな不確かな情報だけで親を説得して何日も家を空けることなんてできない。

何となくの自己嫌悪。

リュウはちゃんと私のことを考えていてくれた。

だけど、私は自分のことしか見ていなかった。

思わず大きなため息が口から出てしまう。

「ハルカ?」