(い、いえ別に…)

確かに俺は、見た目飼い犬の坊やだ。そんな俺が、人間を憎んでいるだのという質問は不自然だ。


老犬は戸惑う俺を見て何を思ったのか分からないが、自分の事について話し始めた。



(うむ…
ワシは飼い主に捨てられた後、元の住まいの犬小屋に鎖で繋がれたまま数日放置されたのじゃ。

飼い主の事は信頼しておったし、当然帰ってくるものだと思っておった。


しかし1週間後、水も食料もなく放置されていたワシが見たのは、その家を任されている不動産屋だったのじゃ。

その不動産屋はワシを見るなり俯いて首を横に振った後、ワシの首輪を外し家の外に放り投げおった。


その時になってワシは初めて気が付いた…

捨てられたのじゃと)


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