(なんじゃ?
そんな不思議そうな顔をして。
ワシが何か、おかしな事でも言ったかの?)
悠然と答える老犬に俺はたずねた。
(見捨てられた後、どうやって生き延びたんですか?)
(ん?
もう2歳というともう大人じゃしな、残飯を漁ったりして生き延びたんじゃ。
時には人間に助けられ…)
俺は最後の言葉に、異常に違和感を覚えた。
人間に見捨てられたのに、人間に施しを受けた?
(人間を憎んでないんですか?)
その言葉に老犬はチラリと横目で俺を見ると、淡々と答えた。
(そりゃ…
最初はかなり恨んだものじゃよ。
手当たり次第に人間に吠えまくり、噛み付いた事も何度もある…
坊や、飼い犬なのに、なぜそんな事を聞くのじゃ?)
.