(あ、こんにちは)
俺は半分くらい声が裏返りながら、その老犬に答えた。
俺の横に座った老犬を改めて確認すると結構大きくて、俺の3倍程の大きさがあった。
老犬は日陰で休みたかったのか、激しい息遣いが妙に耳についた。
(ふぅ…
少し休憩じゃ。
この暑い中を歩くのは、もう辛いのう)
俺はどう対処したら良いものか分からず、黙って愛想笑いをしていた。
すると老犬の方から話し掛けてきた。
(どうだい飼い犬は?
ワシも2歳までは、人間に飼われていたんじゃ。
じゃが、飼い主が引っ越しする時に置き去りにされてしまったがな。
ふぉっふぉっふぉっ)
ふぉっふぉっふぉっって、突然置き去りにされて、何で笑っているんだ?
全く笑える話ではないだろうに…
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