繰り返すのか――
俺はまた、あの時の苦い出来事を繰り返し経験させられるのか?
親友に裏切られ、またあの時の苦しみと痛みを…
あの頃の様には慎一の事は信じていないし、期待もしていない。
それでも…
痛い――
「初めて会った時から、ずっと好きだったんだ。
あんな賭けをしてしまったばかりに、大樹に拐われてしまったけど…
それでも俺は、佐倉の事がずっと好きだったんだ!!」
慎一は突然そう叫ぶと、カナの左腕をグッと掴んだ。
「や、止めてっ
私は大樹が好きなの!!」
カナは慎一の手を振り返りほどき、一歩二歩と後退りした。
「佐倉、よく考えてみろ。
お前がどんなに待とうが、どんなに好きだろうが、大樹はお前の元には戻っては来ないんだぞ!!
だから俺と――」
「いやぁぁぁ!!」
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