「じゃあ、少しここで待っててね」

そう言うとカナは、背を向けて病院の玄関に向かって歩き始めた。


小さくなるカナの背中を見送っていると、不意に玄関の自動ドアが開いた。



「佐倉!!」

聞き慣れた声がして、俺は顔を上げた。
慎一か…


「竹中君、大樹の御見舞いに来たの?」

「う、うん…
ま、まぁそんなところかな」


俺は何か異常に嫌な予感がした。目の前の状況に、以前入院した時の事を思い出し始めていた。

まさか…
いや、慎一に限ってそんな事は――



カナと慎一は、俺のすぐ目の前で話を始めた。

「佐倉、お前これからどうするんだ?

今大樹の母親に聞いたけど、意識が戻る可能性は殆ど無いって聞いたぞ?」


「う、うん…
私は大樹の意識が戻るのを信じて待つつもり。

大樹はあんな風に見えて本当は淋しがり屋だし、私1人くらいは待っててあげないとね!!」


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