少し疑問に思ったが、カナに連れられ俺はマンションを後にした――



そういえば、俺はどこの病院に搬送されたんだろう?

意識が無かったから、当然の様にどこに連れて行かれたのか分からない。
しかし、この道という事は市民病院の様だ…


病院に向かいながら終始無言のカナは、一体何を考えているのだろうか?

前だけを凝視して歩く無表情なカナを、俺は時々見上げた。


20分余り歩くと、前方にグレーの病院らしき建物が見えてきた。

やはりそこは市民病院だった…



横断歩道を渡ると、俺達は市民病院の敷地内に入った。

これで俺が一体どんな状態なのか分かる…



しかし――


病院の玄関付近に近付くと、カナは日陰がある手頃な柱に歩いて行き、そこに俺を繋いだ。


え――!?

そうか、そういえば俺は犬だったんだ!!

俺はカナが戻ってくるまで、その場所で待つ事になった。


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