いや…
病院の前で話を聞いた時点で、実際はもう許していたんだ。

それを格好悪いだとか、体裁ばかりを気にして意固地になっていた。


祐司…
もし俺の意識が戻る様な事があれば、俺の方から連絡しよう――



この時期の夜明けは早く、5時過ぎにはカーテンの向こう側が紺色になり始めた。

その色が妙に目の奥に染みて、焦点が合わなくなってくる…


考えてみれば、俺は周囲の人達に勝手な期待を抱いていたのではないだろうか?

俺はクラスメイトが、俺の復学を心待ちにしていると決め込んでいた。


しかし…

あの県内ナンバー1の進学校で、有名大学に進学する事だけが目的でこの学校を選択した人達が、同じ様に進級出来ない人間に対して興味を抱くものだろうか?


認めたくはないが、この学校のクラスメイトは全員ライバルだ。


そのライバルを蹴落とす為には、何でもする…


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