俺は吐き気を催す様な不快感と共に、俺は跳ね起きた。
夢をみただけなのに、呼吸が荒々しく苦しくて、頭痛までしている。
目を閉じて呼吸が整うまで待ち、再び目を開けて周囲を見渡すと、まだ真っ暗だった。
テレビの横に置いてある目覚まし時計を見ると、まだ2時を少し回った時刻を表示していた。
頭が冷静に働き出す状態とは逆に、どんどん眠気は飛んでいった。
鮮明に残る夢の情景と、交わされた言葉…
その事が意味する事を、徐々に理解していく――
あれは、俺の心の中にある葛藤そのものだ。
カナや祐司の思い。
母親や兄の懺悔。
なにより、あの老犬の言葉の1つ1つが、俺に問い掛け続けている。
そのままで良いのか?
そろそろ、前に向かって進まなければならないのではないのか?
.