「もう、離婚調停どころではなくなったの。

例え自業自得とはいえ、あんな憔悴し切ったあの人を独りには出来ない…


許す事にしたの…
今回だけ特別にね。
もう次はないって、本人にも強く言ったわ」


許す?
自分を裏切り、他の女の元に通っていた父親か?

分からない…
なぜ許す事が出来るんだ?


「大樹に、あの子の意識が戻ったらきちんと謝らないと…

あの子は悪くない。
あの子は真っ直ぐに人を信頼して、人との心の絆を大切にする子だった…


それなのに、私の歪んだ価値感であの子を歪めてしまった…

謝って済むものではないかも知れない。

それでも、これからの全ての時間を費やしてでも、償い続けなければいけない――」



な――…


何を勝手な事を…
今更そんな事を言われて、俺にどうしろって言うんだ!!


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