おおよそ母親のものとは思えない言葉が、次々と溢れてくる――


余程酷い事があったのか、俯いて涙ぐんでいる様にも見える。


しかしそれは、他人を軽視してきた自分達の罪だ。自分の子供でさえも、そういう目で見てきたのだから…


もう今更どうする事も出来ない。誰も許してはくれないだろう。



許す?


誰も許さない?



そうなのか?
俺は許さない。
俺は許さないが、果たして全員がそうなのだろうか?

あの老犬なら許かも知れない…


心から反省し、自分の過ちを悔いるなら、誰かが許してくれるかも知れない。

いや、きっと許してくれる筈だ。


自分の過ちを認め、他人を認め、もう一度そこに新しく何かを築く努力をするならば、そこに新たな信頼が――



は、ははは…
俺は一体、何を考えているんだ。

許せる筈がない。
許せる筈がないんだ。


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