いやしかし、それは人間性を無視し、人格が学歴や地位で決まるものだと考えてきたお前達自身が原因だ。

今更何を言っても無駄だ。



先程まで厳しく照り付けていた陽射しが雲に遮られて陰り、少し薄暗くなった印象さえ受けた。

一陣の風が俺と母親の間を駆け抜けていく…


「本当に、人間なんて薄情なものね…
風向きが変わると、皆の態度も一変する。

今まで頭を下げていた人達は皆あの人を無視する様になり、なるべく無関係を装い…
付き従っていた部下ですら、指示に従う事がなくなった。

当然あの人の不倫相手も、見限って去っていった…


人間を学歴や地位、自分にとって利益があるかどうかだけで判断してきたあの人には、そういう人しか周りにいなかったという事。


今更気付いても遅い…」


.