「あなたの目は、何となく大樹に似てるわね」


そう言って俺の頭を撫でる母親に、俺は一瞬ドキリとした。

俺がこの仔犬になっている事が分かったのかと思ったのだ。

しかし――



「あの子…大樹には、本当に申し訳ない事をしたわ」

いや、やはり気付いている筈はなかった…


「本当に悪い事をしてしまった…」


神妙な面持ちでそう呟く母親に、最初は何気なく眺めていた俺の中に、あの時の感情が蘇る――


何を今更…
今更何が申し訳なかっただ。


思い出せば思い出す程に、頭に血が上ってくる。

俺はあの時、不可抗力で入院し成す術もなく留年したにも関わらず、存在そのものを否定されたんだ。


実の母親に、生きている価値がないと…人間のクズとまで言われたんだ!!


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