以前入院した病院は、自宅から10分の場所にあったにもかかわらず、入院手続き以外様子を見に来る事すらなかった。
しかしこの病院は、自宅から約1時間とかなり遠い場所にある…
今日になって、ようやく入院手続きに来たという事なのだろうか?
母親は目の前でペットボトルに入れてきた水を、裕司が持ってきたゼリーか何かのプラスチックの容器に注ぐ。
その髪は所々に白髪が混じっていた。
今の大学に入学が決まり家を出て以来、俺はあの実家には1度も帰った事がないが…
母親はこの1年で、随分と老け込んだ。
父親と離婚したという話をまだ聞いていないところをみると、まだ調停中なのだろうか?
俺がひとしきり水を飲むと…
母親は俺を駐輪場脇から、自動ドアのすぐ左側にある日陰に移動させた。
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