それにしても今日は暑い。
裕司が持ってきてくれた水も、もうすっかり飲み干してしまった。
それにしても、カナがなかなか戻って来ない。
話しすら出来ない俺に会いに行って、一体 何をしているのだろう…
もう暑くて頭がボーっとして、考えがまとまらなくなってきた。
「ああ、この子ね」
突然頭上で女性の声がして、俺は伏せの状態から身体を起こして座った。
このハキハキとした周囲によく通る声に、俺間違いなく聞き覚えがあった。
母親だ――
「はい、水ね。
それを飲んだら、もっと涼しい場所に移動させてあげるから」
俺の前にしゃがみ、水を差し出す姿に俺はかなり驚いた。
なぜこんな場所に、母親がいるのだろう?
水を持ってきた事よりも、ここにいる事自体に俺は驚いた。
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