病院玄関の自動ドアが開き、俺は素早く振り返った。

カナが戻ってきたのかと思ったのだ。


しかし出てきたのは、まだ幼稚園の年長か小学生低学年位の男の子だった。

急いで出て来た男の子は、自動ドアから数メートル程進んだ所で振り返り、まだ中にいる相手に向かってしきりに謝っていた。


「ごめんなさい!!
もうしないから、ごめんなさい!!」


男の子を追う様に出て来た女性は、どうやら母親の様だった。

「もう…
もうしないのね?」

「しない、しない」


何をしたのかは分からないが、何か悪戯でもした様な雰囲気だった。

その母親らしき女性はフゥと溜め息を吐き、「仕方ないなあ」という様な笑顔見せて言った。


「分かった。
許してあげる」


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