強い陽射しがすぐ足元まで迫り、照り返しが眩しくて周囲が白く霞んで見える。

このまま日陰の部分が無くなり、全身がこの強い直射日光の下に晒されると、この小さい身体は1時間ともたないだろう…


柱に繋がれ、全く逃げる事も出来ない状況で恐怖心が無いのは、それ迄に必ずカナが戻って来ると信じているからだろう。



信じる――



こうして仔犬のダイとなってカナの元で生活していなかったら、カナに対しても絶対に抱かなかった感情だ。

微かに…
ほんの少しずつ、俺の中で何かが変化しているのかも知れない。


でもそれは、カナに対して決定的な猜疑心があった訳ではないし、裏切られた訳ではないからなのかも知れない。

果たして俺は、裕司や他の人達を許す事が出来るのだろうか…


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