その男の子を見ながら、ワシはようやく気が付いたのじゃ。
大切な事は、お互いが許し合い理解出来る様に歩み寄る事だと。
犬も人間も、生きている限りは過ちを犯す。
罪は罪じゃが、自分の犯した罪を後悔し、心から反省した者は誰かが許してやらなければ、そこにずっと悲しみが残る…
悲しみは憎しみを生み、憎しみは争いを起こし、いつ果てる事もなく繰り返されていく――
許す勇気を持つ事。
認め合う感性と心を持つ事が大切なのじゃ…
だからもうワシは、人間を怨んでなどおらんよ）
俺は老犬の話を聞きながら、気付かないうちに頭を垂れていた。
老犬の言葉には全く嘘偽りの気配はなく、心の底からそう言っている事が分かったからだ。
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