捨てられた――か。
何か俺とよく似た立場だな…


(それからワシは生きる為に残飯を漁り、汚れながら生きた。
人間には何があっても、二度と尻尾は振らないと心に誓ってな。

実際その後も、学校に迷い込み捕まって眉毛を書かれたり、石を投げられたりした。

人間なんて、本当に酷い生き物じゃ…)


老犬の言葉に、俺は胸が痛んだ。

小学校の時に、この老犬言う様に学校に迷い込んだ犬に、油性マジックで眉毛を書いた事があった。

中学の時には、爆竹を持って野良犬を追い掛けた事もある…


それは犬達にとっては、人間の裏切りなんだ。



俺は老犬のくたびれた姿を、尻尾の先から鼻の頭までジックリと見た。


尻尾の先は泥にまみれ、背中は黄ばんで薄汚れ、腹部は地面に擦れて毛玉になり…

耳の先は切れ、黒い鼻の頭は老化なのかすっかり白く変色してる。


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