「あれ…印刷室って、あんな所にあったんだ…職員室からじゃないと、出入り出来ないようにしてるのか…」

テスト用紙やら、重要な書類も保管する所だ。
確かに生徒に気楽に入られては、困るに違いない。



「あ、ごめん、お待たせしましたー」

息を切らして、鳴海が戻って来た。

「どこに行ってたの?」

千歳は鳴海の制服をつかむと、つめ寄った。

「?鍵をね、見つけてきたよ。ほら、忘れ物箱が玄関の所にあったじゃない。あそこで鍵を見た気がして…」

「え、えらい〜良く思い出したね〜」

千歳は褒めちぎった。

「ふふふ…もっと褒めていいよー」

嬉しそうに鳴海は言いながらも、手は大急ぎでダミーの鍵に、屋上のタグを取り付けている。

「出来た!残り時間は?」

「3分」

「ふーっ、何とか間に合ったね」

キーケースの鍵もちゃんと元に戻して、二人は職員室を出ようとした。が、いきなり首を引っ込めると目を合わせた。

「見た?」

鳴海の問いに、千歳はコクコクとうなずく…