「あー。終わった!!終わった!!もう身も心も泥だらけ、あっ、見た目もか!!」

 私の後ろで着替えている麻紀の一人ごとに、思わず噴き出した。
 笑ったなーと言いながら彼女はほっぺたを膨らまして怒った顔をした。


 
「そういえばさ。さゆき、マフラー洗わないの?制服とか鞄は毎日使うから難しいけど、マフラーなら洗えるんじゃない?」


 麻紀は私が手に持っている、泥だらけのマフラーを指さしながら言った。


 「洗いたいんだけど、私の体の一部みたいなものだから。毎日持ってないと落ち着かないし、それにマフラーこれしかないの。」


 私のマフラーは裕兄が編んでくれたものだ。
 

 中学一年生の時にクリスマスプレゼントとしてもらった。それからずっと使っているから、私にとって、お守りみたいなものでもある。