「何が、ないの?どうしたの、大丈夫、美咲?」


 彼女の肩を両手でつかんで、じっと彼女の顔を見た。





「ちっ、チケットが・・・ないの。」



 それだけ言うとうつむいて、顔を両手で覆った。つかんでいた美咲の肩が震えていた。どうしたら、いいのかわからなかった。


 とりあえず美咲から学校に来てから、鞄の中身をだしたりしたかどうかを聞いたり、鞄から目を離していたかどうかを聞いた。

 美咲は、震える声でぽつりぽつり、私の質問に答えて言った。