「お疲れ様。」


「さすが男の娘だな、あんな走り方できねーわ。」


 幸兄をきっとにらむ。
 裕兄は笑いながら、走ってきたせいでほどけてしまった、私のマフラーを巻きなおしてくれた。



「そうそう、幸兄。草壁先輩から、これ渡してほしいって。」



 走ったりしたせいで、少しよれっとしてしまった袋を、鞄から取り出した。

  
 幸兄はその袋をじっと見つめていた。