「竹田君に渡してくれないかな・・・。」

 


 申し訳なさそうに言うのを見て、すごく幸兄にその袋を渡したくなった。

 草壁先輩からそれを受け取りながら、重さと大きさからクッキーかシフォンケーキだろうと予想した。昨日あれから帰って作ったのかなと考えると、軽いはずの袋がずっしりと重くなった気がした。



 「ちゃんと、渡しておきます。」



 ありがとうと言って、下駄箱の方に向かう、先輩の後ろ姿を見ながら、あんなに優しそうな人に好かれる幸兄が、少しだけ羨ましくなった。