おなじみのセリフだ。

 渡してほしいと言って、私に物を渡した人達は、渡したかどうか翌日かその次の日位に私に確かめにくる。

 変なことを言って、私が幸兄が事を好きだとか、裕兄の事が好きだとか、そういう誤解をもってほしくないので、いつも営業スマイルにハキハキした物言いで、このセリフを言う。


 先輩は、胸に手をあててほっとした表情をしてから、はっと何かを思い出したように私の顔を見た。



「私、草壁。竹田君と同じクラスなの。自己紹介が遅れてごめんね、松山さん。」

 

くしゃっと笑った先輩を見て、キュンっとした。


 こちらこそと言って部活に行こうとしたら、先輩がちょっと待ってと言ってカバンから、ラッピングされた袋を渡してきた。