"ミーン ミーン ミーン ..........."

鳴りやまないセミの声で目が覚めた。

まだ6月に入ったばかりなのに、暑すぎる。

気づけば2時10分になっている。さっき始まったばかりのはずの数学の授業も、あと10分で終わりだ。

私の名前は、木原いちご。
変わった名前だけど、好きなわけでもなければ嫌いでもない。
私のお母さんが私を生んだ日に、綺麗ないちご畑の夢を見て決めたらしい。
私は弟と二人姉弟で、親に縛られることなく、自由に育ってきた。
別にやんちゃ組とかじゃないよ。
普通の女子高生だと思う。でもまあ、自分で言うのもなんだけど、色白だし顔はかなり可愛い方。
お父さんは誰がみても優しいお父さんで、お母さんはとてつもない天然でふわふわしてる感じ。中2の弟は野球馬鹿で、いよいよ昨日は頭を丸刈りにしてきた。
どこから見ても良い家庭だから、そこが自慢かな。


「ふわぁ──(*´○`*)」
今日は眠すぎる。あくびがとまらない。
2時17分。この3分がとてつもなく長い。
早く終われえーっ(>-<)

「大きなあくびー(笑)昨日あまり眠れなかったの?」
話しかけて来たのは親友の村田夏純。中3で同じクラスになってからずーっと仲良し。
「ううん。10時過ぎには寝たもん」
「ほんとよく眠るよねー」
「だって…眠いんだもん」

この桜田宮第一高校に入ったのは、かすみがいたから。
ここは、そんなに頭が良い学校じゃない。まあ、中の下くらいかな。
多分私はもうちょっと上の学校でも行けたんだけど…

この学校に入ったもうひとつの理由がある。