完全に亜美のペース。今、もう一度付き合おうなんて言われたら、何のためらいもなく受け入れてしまうに違いない。

「ところでさぁ、あの子ほっといていいの?」

「あの子?」

変化に、ついていけない。

「ほら、昨日駅にいた―─」

「あぁ、礼の事?」

「そうそう、礼って子。これはホントに勘だけど、あの子何か抱えているかもよ?」

「何か?」

「詳しくは、分からないけど、なんかとても寂しそうな眼をしていたなぁ」

昭人にはサッパリ分からない。分からないけど、今の亜美が言った事だから信じられた。

「だからぁ、明日にでも会った方がいいよ」

「あ……うん」