「雷兎のことなら…相談にのれるかもしれないから…ね?」


なるべく優しく声をかける



「相良…くん」


あ…俺の名前覚えててくれたのか

なんとなくふとそう思った


「雷兎っ……なんで…」


栗原さんは雷兎の名前を言葉に出すのが苦しいのかその後の言葉が繋がらない


女がこんなに泣いているのを初めて見た俺はただただ戸惑うばかり



「雷兎のことが…好き?」



俺がそう聞くと


「うんっ…」


即答だった

それと同時にこんなに想われている雷兎が羨ましくもあり

雷兎が自分の気持ちに気づいてないことに苛立った



「でもっ…雷兎…私のこと…好きじゃないっ…」


「それは違うよ」


「え……?」



もう他人の恋がどうだとかどうでも良くなった


今はただこの子の涙を止めさせるのと

ここにはいない雷兎に向けて



俺は話すべきだと思った