そんな時ー…向こうから走ってくる人影が見えた



特に気にせず歩いていたが


すれ違いさま…思わずその手を取ってしまった





「え…栗原さん!?」


「え……」



お互い驚いた顔をして相手を見つめる



だけど栗原さんはすぐさま目を伏せた



「な…何か用ですか?」


その声は小さくか細いものだった


もう俯いていて顔は見えないがさっき確かに目から涙が溢れているのを見た



「あ…あのさ…」



こういう時は何を言えばいいんだ!?


俺…あんまり女と接したことないし


でも泣いてるの…雷兎絡み…とか?



「ちょっと来て…」


掴んだ手を引っ張り足を踏み出す


「はい…」


栗原さんは小さな声で返事をして素直に着いてきてくれた


雷兎を探して廊下を歩いていたのに何でこんなことに…?