「ルリコ、絶対絶対別れないでね!!嫌いにならないでね!!」


そう話す彼、サトルは同じクラスの人だ。

たった今告白されて、私は渋々承諾。
付き合う気もないのにOKを出したことを後悔してる。


「やったあ!!もう、ルリコ大好き!!」




とびっきりの笑顔で飛びつくサトル。

私は、さっき失恋した。
半年も付き合ってきた彼氏が、学校を辞めるつもりでいるから。

お互い地元遠いし、そこまでお互い執着しないから。
このままいけば。というか、既にもう別れてたのかもしれない。

そんな曖昧な関係でもありながら、私はサトルと付き合うことを決めた。



…さようなら、ケンタ。





「じゃ。ルリコ学校行こっか。」


サトルは幸せそうな顔をして、私に言う。

時計を見るともう16時を過ぎていた。

暇だからとサトルの家を昼前に訪れたのはいいけど、何故だろう。
人といたら、時間の流れが早い。


「うん、行こっか。」


上着を着て、私はサトルの部屋から出た。



11月下旬。
とても穏やかだったのを、今でも覚えている。







「あのさ、みんなには付き合ってること内緒にしよ。」


電車の中で持ち掛けた話に、サトルは乗り気じゃなかった。

だけど、サトルのともだちのリュウも私のことが好きみたいで。
関係がややこしくならないために。と念をおして話すと承諾してくれた。


本当は、そんな理由じゃない。
もしケンタが学校を辞めないでいるなら、私はまたケンタと幸せにやっていきたいから。


サトルと付き合ってるなんて、知られたくなかったから。




「じゃ、学校では今まで通りで!!」


そう約束して、学校の最寄り駅であるところで電車を下りた。



私は、ルリコ。
定時制高校に通う1年生。

出身は関西。
ボーイッシュ系統で、髪型は男子並みに短い茶髪。

どこにでもいるようなふつうの子。


ただ、ケンタのことで頭がいっぱい。
ケンタ中毒だってこと。

ケンタとは、クラスが一緒だった。
みるからにチャラチャラしてる男子。

自己中だし何様なのって思うけど、なんか惹かれちゃって。

5月からずっとかな。
付き合って別れてまた付き合ってって。
そんな繰り返しだった。


けどここ最近は連絡もとってなくて、お互いが冷めてた。
そこできいた、退学するという話で、私は本当に悲しくなった。


もう会えない。って。