「いやあ~♪カワイイ~ワンちゃんですねぇ♪」


いえ…それほどでもないっすよ……


ミツゴロウさんは、俺達にまず犬を調教する際の心構えを教えてくれた。


「犬をしつける時に、一番大切なものは何か分かりますか?」


俺は、本か何かで読んだ事のある知識をミツゴロウさんに向かって答えた。


「確か、犬は相手が自分より上の身分かどうかを敏感に感じとるらしいから、毅然とした態度が大事かと。」


「違いますね……確かに、そんな事を言う専門家もいます。しかーーし!私は断言します!
犬のしつけに一番大切なものは…………」


「大切なものは?」


「それはーー!」


「それは?」











「『愛』です!!」


ミツゴロウさんは泣いていた。


それほどまでに犬を愛しているのか!


俺は、ミツゴロウさんのその犬に対する強い思いに感動した!


「ミツゴロウさん……」










「ヘェ~ックショイ!!……このへん、花粉多いですね……私、花粉症なもので……」


ミツゴロウさんは、そう言って眼鏡を外して、涙を拭いた。


ただの花粉症か……