二人の間に沈黙が流れる。
その沈黙を止めたのは真だった。
「俺、願ったんだよ。時間がこのまま止まればいいと、思ったんだ」
「何で?」
菜紀の声が真の目が少し潤ませた。
「菜紀、俺はお前と一緒にいたかったんだ。俺はずっとお前が好きだから…っ!!」
菜紀は微笑んで、顔を彼の顔に近づけ、唇を重ねて一言った。
「・・・真、あの日の約束をもう一度言って」
真は深呼吸をして、呟く様に言った。
「俺が18歳になったら、俺の家族になってくれ。そして、いつも俺の隣で笑っていてくれ」
彼女はそれを聞き、満面の笑みを浮かべている。
―その瞬間、時間は再び動き出した。
一瞬にしていつも通りに教室は騒がしくなった。
恋人達はしばらくは驚いていたが、同時に笑い始めた。
皐月の雨空が恋人達を見守っているかの様だった。
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